秋の夜空を見上げると、まあるい月がぽっかり浮かんでいました。空気は少し澄んで、虫の声が心地よく響きます。
そんな夜に訪れる中秋の名月は、一年の中でも特別な美しさを感じます。
家の庭先では、ススキが風にゆらゆら揺れ、子どもたちは「もうすぐお月見だね」とワクワク。
お団子を用意して、ススキを飾って、家族で月を見上げるだけの小さな行事ですが、こうした時間が暮らしの中の季節をしっかり感じさせてくれます。
庭のススキが教えてくれる季節の訪れ

子どもたちは季節の行事に敏感で、「今の季節はなに?」と日々の暮らしの中で小さな変化を見つけてくれます。
だからこそ、できるだけ季節の習わしを大切にしながら過ごすようにしています。
毎年この時期になると、庭のススキが風にゆらゆら揺れ、その姿を見ると「そろそろお月見の季節だな」と教えてもらっているようです。
子どもの手で飾る、お月見の支度

学校から帰ってきた子どもは、宿題をせっせと終わらせると、祖父が庭から取ってくれたススキをお気に入りの花瓶に飾りました。
そして、そのススキをじっと見つめながら、お月見の絵を描き始めます。

完成した絵を手に取り、にっこり笑う姿に、家族も思わずほっこり。
夕飯の時間が、なんだか待ち遠しい様子です。
団子を囲んで、やわらかな月の光の下で


祖父が買ってきてくれたお団子を並べ、子どもの描いた絵と一緒に飾りつけ。
夕食を終えたあと、みんなでゆっくりお団子を味わいました。

外に出て夜空を見上げると、まん丸の月がぽっかりと浮かんでいました。
一年でもっとも月が美しい夜。
やわらかな光が夜を包んで、なんだか心が落ち着きます。

月明かりに照らされたススキが風にゆらゆら揺れています。
光に透けた穂がキラキラしてとってもきれい。思わずじっと眺めてしまいました。
思いがけない出会いと、静かな夜の余韻

ふと玄関へ戻る途中、足元でカサッと動く小さな影。
よく見ると、そこには立派なカマキリが。
お月見の夜に思いがけず出会えたその姿に、子どもも大喜びでした。

寝る前には、図書館で借りていた「お月見」の絵本を読んで一日を締めくくり。
かわいらしくてちょっとおかしな絵と、リズムのある言葉が、寝る前の時間をもっとあたたかくしてくれます。
ススキに触れ、お団子を食べ、月を眺め、虫との出会いがあり、
最後に絵本で季節を感じる──そんな一日。
家族みんなで過ごした中秋の名月の夜は、静かでやさしく、心が満たされる時間になりました。