旅について

秋の実りをいただく旅 | アルプスに抱かれて、長野でりんご狩り

手でリンゴの枝をそっとつかみ、赤い実をもぎ取る瞬間。冷たさと重みが指先に伝わる様子

秋の空気が少し冷たくなり、朝の光がやわらかく感じられるようになった頃。
家族で長野へ、りんご狩りに出かけました。

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山に囲まれた土地で、実りを手に取る時間。
そのひとときの中に、暮らしの豊かさの種があるような気がしました。

出発〜道中、雨の中を抜けて

車のフロントガラスに雨の雫がつき、長野へ向かう山道を進む様子

車の窓から見える空は、雨が降ったりやんだりを繰り返していました。
フロントガラスをすべる雫の向こうに、遠くの山がぼんやりと浮かびあがって、季節の輪郭を少しずつ変えていくようでした。

山を越えるごとに、稲刈りを終えた田んぼの色が深まり、霧の切れ間から青空が少しずつ顔を出します。

車の窓を開けて見た、近くに迫る山と広がる青空。長野へ向かう道中、雨がやんで光が差し始めた瞬間の景色

そして、長野に近づく頃——
それまでの曇り空が嘘のように、雲がほどけて、やわらかな光が差し込みました。

まるで、空がこの旅のはじまりを祝福してくれているようでした。

アルプスに囲まれたりんご園で

中央アルプスと南アルプスに囲まれた小さなリンゴ園の木に、赤く色づいたリンゴの実が二つ並んでいる様子

到着したのは、中央アルプスと南アルプスの山々に抱かれたりんご園。

澄んだ空の下には、どこまでも続く山の稜線。
その中に、赤く色づいた実が静かに並んでいました。

風が吹くたびに、葉がかすかに揺れて、りんごの香りが空気の中に溶け込んでいきます。

さっきまでの雨の気配を忘れてしまうほどの青空に、自然の移ろいの大きさを感じました。

実りを手に取る時間

もぎ取ったリンゴをその場でかじる様子。果汁が光り、赤く熟した実の瑞々しさが伝わる秋の一瞬

そっと手を伸ばして、枝からりんごをもぎ取る。
その指先に伝わる冷たさと重み。

ひとつの果実ができるまでに、どれだけの時間と陽の光があったのだろう。

その場でかじると、ぱりっとした音とともに、甘い果汁があふれました。
雨あがりの空の下で味わうその一口が、忘れられないほどにやさしかったです。

帰り道に残る余韻

帰り道、車窓から見えた山の一部と澄んだ空。広がる山並みではなく、近くに迫る静かな山の姿が印象的な景色

山の向こうに広がる山並みと澄んだ青空。
車の中には、りんごの甘い香りが漂います。

その香りが、今日の景色をふんわりと包んでくれているようでした。

旅が終わりを迎えるときの、少しの寂しさと温かさ。
そのどちらも、心の奥で静かに混ざり合っていきます。

暮らしの中へ戻って

自宅で切ったリンゴをお皿に並べ、自然光の中で彩りよく盛り付けている様子。赤い実の瑞々しさが伝わる食卓の一瞬

持ち帰ったりんごを、袋に詰めて近所の方へおすそ分けしました。
並べられた赤い実が、まるで秋の贈りもののようです。

自宅でも切ってお皿に並べて、家族でゆっくり味わいました。
旅の香りが食卓に広がり、ひとつの果実の中に、あの日の空や風がよみがえってきそうです。

やわらかく残る、季節の記憶

まな板の上でリンゴを包丁で切る手元。赤い果実の瑞々しさと、日常の食卓に秋の実りが還る瞬間

旅で出会った実りを、暮らしの中で味わい、分かち合う。
それは特別なことではなく、季節の流れの中にそっと寄り添うような時間でした。

雨から晴れへと変わる空のように、日々の暮らしの中にも、光を見つける瞬間がある。

アルプスの山々と秋の風に包まれたあの日の記憶が、りんごの香りとともに、今も心に残っています。

アルプスに抱かれた長野の秋を、動画で感じる

雨から晴れへと変わる空の下で、山々に抱かれ、赤い実を手に取ったあの日の時間。
その記憶が、暮らしの中で切ったりんごや食卓にそっと還るように感じられます。

旅の空気や実りの瞬間を、動画でもぜひご覧ください。

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